読んどく?積んどく?

積んどいた読んどいた本?読んどいた積んどいた本?

御成敗式目

写本などから見て、「(制定から)少し後の時期の幕府関係者の目からみても修整を要するものだった」ってのが、面白い。

あと、明治期の憲法論議にも引っ張り出されたり、果ては原題の改憲論議にも御成敗式目を持ち出しての意義づけを行おうとする学者がいるってことに、ちょっと衝撃。

 

謙信✕信長

近年は、「幕府を滅ぼすつもりはなかった信長」というのが完全に主流なんですかね。

『ここから信長は、公儀に見捨てられた超大国大名として、天下にぽつんと取り残された。このため、暗闇の中を手探りで進まざるを得ない環境に置かれた』

『信長は、拠り所とする天下の大義のために死に物狂いで強豪たちと戦ってきたが、足利義昭から見限られ、敵だけが残った』

そして、これだけ実態のない「手取川合戦」を、一次資料・二次資料から抽出して比較する内容に、唸らされた。

 

陰謀の日本中世史

久しぶりに読んだ、ライトな感じの歴史系の新書。

著者の推論には概ね違和感ないが、この本の中でもあるところでは写しだけしか現存しないけど信用できる文書だとか、別のところでは写ししか現存しないから偽書だとか言ってて、こういう議論って噛み合わず難しいよねーと。

印象に残ったのは、「『吾妻鏡』に対する批判的態度が、つねにその裏を読むことのみに追われ、執権政治確立への過程を、逆にすべて北条氏の悪辣な陰謀の成功の連続としてのみ説きつくそうとする傾向を生んだとすれば、それもまた、けっして正しくはない」

 

鎌倉殿と執権北条130年史

個々の部分部分で様々な感想があれど、『史学』って面白い。

「『吾妻鏡』の個々の記述をそのままに解釈することは危険であろう。『吾妻鏡』編纂時の意向、すなわち後に得宗家と称される北条惣領家(中略)の正統化という目的のなかで編纂されたという特性も考えるべきである。(中略)もっとも、その解釈の違いが『吾妻鏡』を読み解く面白さでもあるのだが。」

あと、庶流から家を継いだ義時・泰時・時頼が、それぞれタイプは違えど、やっぱり実力者なんだなと思う。